小学校のころ、学校帰りに見かける絵を描いているおっちゃん。
その絵は、時に黒いクレヨンみたいなもので描いたり、バターナイフのようなものを使って描いたり。
魔法のように絵が完成している様子を子供たちがじっと息を凝らしていると、おっちゃんがお菓子の袋を「食べるか」と言いながら差し出してくれます。
学校帰りの小学生は、お腹がペコペコ。サルビア花についているほんの少しのミツをなめたり、上級生がもいでくれたザクロのおこぼれにあずかったりしていたので、すぐに飛びつきたかったけど、ほんの少し考えてやっぱりいただくことにました。
それは深いシワが刻まれたおっちゃんの笑顔がとてもやさしくて、いただいてもええような気がしたんだと思います。
おっちゃんがくれるお菓子は、「かりんとう」や「芋けんぴ」が多くいつの間にか子供たちは、「かりんとうのおっちゃん」と呼ぶようになりました。
お腹を空かせた小学生たちは、おっちゃんを探して絵を描く様子を見つめながら、お菓子をもらう機会をうかがっていました。
小学校を卒業して少し経った頃 画集「小松益喜・神戸の異人館」を目にする機会があり、親に画集に描かれている絵をみたことがある言うと、絵を描いたのは有名な小松益喜(こまつ ますき)先生で北野町でよく写生されていると教えられました。
先日、神戸ゆかりの美術館で開催される
企画展「生誕120年記念 小松益喜の作品で神戸散歩」を観て、小松益喜先生の画業を改めて知ることができました。
長きにわたる画業を6章に分けて展示していて、筆致の変遷を感じることや先生のパワーのようなものを感じずにはいられませんでした。
私は、思い出ぶかい『5章(1959~)揺るがぬ“異人館”への愛着』のおっちゃんの絵をもとに北野を歩いてみました。
かりんとうのおっちゃんが、描いた北野の町並みは震災や老朽化で変わらざる得ない部分もありますが、絵に残してくれたおかげで当時に思いを馳せることが出来ました。
いいね やっぱり神戸が好き
もっとKOBE ずっとKOBE
ではまた次回をお楽しみに♦