天狗と言えば「鞍馬天狗」を最初に思いつくかもしれないが、そもそも天狗と言われていたのは、山岳で行者を見たときに「天狗を見た」と表現されていたという話がおおよそ確かだろう。六甲山系も江戸時代からそういった仏教僧と山岳行者の修験の場であったそうだ。
3週ほど前に紹介した再度山の大龍寺と今回紹介する摩耶山の天上寺を結ぶ道も天狗道と呼ばれており、両方のお寺を行き来する仏教僧と行者が多く居たことがわかる。
天上寺は再度山の大龍寺から天狗道を登った摩耶山上にある。クルマで行く場合は六甲山方面から来ることになる。料金先払いの駐車場がふもとにあるのはありがたい。
門をくぐると、結構な勾配の階段が続く、さすが山岳行者の寺だ。登って行くと右手に手を清める手水舎がある。龍の口から水が出ている。
ここから少し登ったところに「軍艦(巡洋艦)摩耶の碑」がある。地元の川崎造船所で建造された巡洋艦なので「摩耶」と命名されたのかもしれない。
ここからさらにグイグイ登っていく。登り切った左側が本堂への入口。
ちなみに登りきったところの右手方向に少し降りたところに、トイレがあるのでご安心を。山の上はよく冷えますので。
昔から「摩耶」という名前には妙に惹かれるところがあった。何か神秘的で、六甲山系の山の名前の中でも異質な感じがしていた。この天上寺にその答えがあった。その昔、仏教を学ぶために留学していたお坊さんの空海が、唐で「摩耶夫人(まやぶにん)」の像を手に入れたそうな。この摩耶夫人というのは、お釈迦さんの生母だと。摩耶夫人の像を天上寺に安置して、この山を摩耶山と名付けたと。そりゃ、神秘的な感じがしてもいいんじゃなかろうか。
ということで、まず最初に見えるのが摩耶夫人堂。お釈迦さんのお母上が祀られていることから、天上寺は地元でも安産祈願の寺として信仰されてきたわけだ。その右わきに何やら足型が。佛足石といって、その足型のところに仏さまが居ると思って拝めばいいということ。足腰に病いを抱えている人にはよいと記されてある。それにしても、この境内の庭には静寂的な美しさがある。「天空之庭」と言われるのもわかる。
鐘楼、延命大地蔵を左手に進むと金堂がある。入口で靴を脱いで、引き戸を開けて中に入って礼拝(らいはい)ができる。中の撮影は出来ないので紹介できないが、ホットカーペットが敷いてあり、礼拝の詳しい手順が書かれたものもあるので安心して拝むことができる。
お寺からの見晴らしと御朱印をいただいたので載せておく。ここからの見晴らしは超広角でないと表現できないかも。なかなかのパノラマである。
今回は摩耶山天上寺に来るためにクルマで六甲山方面から回り込んできたわけだが、摩耶山正面からケーブルカーとロープウェイで登ってくる方法もある。山頂の掬星台(星を掬うというぐらいきれいな夜景が見れる)の展望も摩耶山の魅力のひとつでもある。私の大のお気に入りの「のら印BLOG」にその記事が書かれているので紹介しておこう。きれいな写真と丁寧な解説が素晴らしい。
再度山の太龍寺と摩耶山の天上寺、それを結ぶ天狗道。六甲山系には色々な歴史がある。
いいね。やっぱり神戸が好き。
もっと KOBE ずっと KOBE
ではまた次回をお楽しみに ♣