和田岬の中央市場の近くに奇跡的に残っている「岡方俱楽部」(おかかたくらぶ) が、全面改修を前に最後の内覧会をやっていたので最終日に見に行ってきた。奇跡的に残っているというのは、第2次世界大戦時の神戸空襲、1995年の阪神淡路大震災をくぐり抜けてのこと。2018年には国の有形文化財に指定されている。
神戸市営地下鉄の中央市場前から徒歩で10分ぐらい。このあたりは兵庫津(ひょうごのつ)と呼ばれていた。以前の西国街道の記事でも少し紹介したことがある。
兵庫運河を渡って、右に折れて真っすぐ行けば「岡方倶楽部」が左手に見えてくる。
岡方というのは、どういう意味か。江戸時代後期に兵庫津を管轄する際に、行政区分を南濱、北濱、岡方の3つの分けたときの名称だそうだ。
この岡方倶楽部は、昭和2年に兵庫の商人の社交場として建築された。時期からして、大正時代の建築様式が特徴とされている。大正時代の建築は、関東大震災の影響で、レンガ造りから鉄筋コンクリートに変わってきたところが特徴。デザイン的にはアーチが多いのかな。岡方倶楽部を正面から見た感じは、東京駅に似ているかも。
正面玄関は、アーチ状になっていて、床はタイル。
中に入ってみる。北野の異人館とは違って、そのまんま残されてきた感じ。人工的なエイジングではなく、リアルな経年変化そのもの。これはこれで良いと思う。
正面中央に階段を配し、その両側に部屋を作るという典型的な洋風建築様式にのっとった間取りです。
開かずの間ばかりではなく、開いている部屋にも入ってみます。天上や廻り縁に相当するところの造作も凝っていますね。開口建具枠もりっぱです。
室内ドア建具枠の室内側には何か乗っかっている。これもこの時代の特徴なのでしょうか。ドアの装飾も手が込んでいる。
他にも気になった箇所や小物を紹介しておこう。
両開きの室内ドア建具の上部にも洋風欄間っぽい造作があった。階段腰壁スリットも今のとはちょっと違った感じ。
ソケットが割れて落っこちそうな照明だが機能している。こういうのも上手に改修して安全な状態で残してほしいモノです。この押しボタン式のフリップフロップのスイッチは「押したい」衝動にかられたが、我慢して写真に収めてきた。普通はトグルスイッチかシーソ式のスイッチが使われるところだろう。今では、あまり見かけないスイッチだ。
全面改修前の最後の内覧会ということで、神戸アーカイブ写真館から提供されている昭和初期の写真や、3階の大広間では改修後の岡方倶楽部と移設予定の神戸文書館の有効活用についての意見交換会みたいな催しも実施されていた。
この近所には以前ブログで紹介した兵庫津ミュージアムがある。
これらと岡方倶楽部のような貴重な文化財と神戸アーカイブ写真館や神戸文書館のような歴史を記録しておく施設は、うまく連携して地域の歴史を残していってほしいものである。
今回は経年変化の中にあっても、昭和初期の神戸の栄華を感じることができた。歴史的な建造物を残しておくことは、やっぱり大事やね。
さて、この岡方倶楽部、どのように全面改修されるのかな。開かずの間も開くのかな?楽しみですね。
いいね。やっぱり神戸が好き
もっと KOBE ずっと KOBE
ではまた次回をお楽しみに ♣