神戸の兵庫区の会下山(えげやま)の住宅街に神戸空襲や阪神大震災を乗り越えて建つ昭和初期の邸宅がある。
現在は「la mura(ラ・ムーラ)神戸会下山」として、2023年から訪問者を美味しい食事とお酒と心地よいもてなしで迎えてくれる。
最寄りの神戸市営地下鉄の「上沢」駅か神戸高速の「湊川」駅からしばらく歩き、山の方へ進むと細い道になり、お店の場所がわからなくなりそうだが、大きな石垣を見つけてほしい。通り過ぎてしまいそうな控えめな看板が見えてくる。


昭和初期の建物は、木部が黒く変化したせいか家の輪郭がはっきり出て、室内は昼間でも少し暗めの独特の落ち着きを放っている。ある程度年齢を重ねた人たちには郷愁であり、若い人たちには時間の経った建具や室内の意匠に温かさや安心感を見出したり、日常で接することのない新鮮さを感じることもあるようだ。





食後は邸内を見せてもらった。




昭和の住宅によく合う女性の絵 小磯良平画伯の筆だと美術に明るくない私でもわかった。もしやこの邸宅と何か関係があるのではと思い聞いてみた。


『ここは、昭和14年に石阪芳松商店の長男 石阪慶一郎氏によって建てられた邸宅です。石阪芳松商店は当時、問屋業を営んでいました。
慶一郎さんには孝二郎さんと詩人の竹中 郁さんという弟さんがいらっしゃいます。』
ええっ! 竹中 郁ってあの? 小磯画伯の絵のモデルの?それに学校の校歌や学園歌の作詞をいくつもいくつも手掛けたスゴイお方。そのお兄さんのお家なのか!と驚いていると、
『慶一郎さんのすぐ下の弟の孝二郎氏の息子さんは、洋画家の石阪春生氏なんですよ』と教えてくれた。エエ~~っ!イ・シ・ザ・カ・ハ・ル・オ!
小磯画伯に石阪春生氏が師事したのは、叔父さんの竹中 郁氏との縁だったですね。
神戸にいると石阪先生の絵が自然と目に入って来ます。
だいぶん前のことですが、さんちかに先生の大きな絵があったような。
そういえばこのメダル、うちにもあった。

1975(昭和50)年10月6日~1976年4月3日には、NHK朝の連続テレビ小説「おはようさん」のタイトルバックに石阪先生の絵が流れていました。
※NHKのサイトからみることができます。
「ことばたちのフーガ メルヘンの部屋10」世界文化社 1979年刊行

タウン情報誌「月刊 KOBECCO(こうべっこ)」
抽象画やユニークなコラージュも製作されますが、「女のいる風景」は石阪先生の代名詞と言えます。
ご自身の絵の女性について
「ストイックな女性がいい、健康に跳ねて、ニコニコ笑っているよりは。もの思う、疲れている、しらけているといったマイナスエネルギーが働いているとき、その女性はあやしさがありますね。それでいて毅然としたもの、女の性をぎりぎりで生きているという感じでもある。(「性の極限に生きる」読売新聞1976年4月18日)

小磯記念美術館の「石阪春生展」の図録で見つけた一節
1981年の石阪春生個展に寄せた小磯良平の言葉の抜粋を引用させていただく。「彼の現在の絵の作風が如何にも神戸らしい空気を一ぱいににほわせているように私には思われるのである。というのも他の誰にも似ていない独特な技法やスタイルのせいではないか。」時代や芸術界の状況は変化しているとはいえ、彼が石阪氏の芸術において、彼自身の秘められた市民的な独立独歩の精神の継承を認承していたこと、それをまた神戸という街の精神的風土に結び付けて考えて居られたことは、芸術に関わる神戸人としては、しっかりと記憶に留めておくべきことであろう。
「石阪春生氏の絵画の世界」小磯記念美術館 前館長 西村規矩夫 より
石阪先生は、シュツとした見るからに「KGボーイ」という風貌で多くの人を魅了してきたんだろうな。2019年のクリスマスイブに逝去されましたが、先生の絵はいつまでも人々の心の中に生き続けます。
いいね やっぱり神戸が好き
もっとKOBE ずっとKOBE
ではまた次回をお楽しみに♦
「la mura(ラ・ムーラ)神戸会下山」
https://la-mura.com/news
住所:神戸市兵庫区会下山町1-2-15
TEL:078-381-8596
営業時間:11:30-14:00 / 18:00-21:00 ※ 完全予約制(前日まで)
定休日:火・水曜日定休日























































































































































































































そうそう、絵はがき以外にも「滑稽新聞」、すごろく等もあって初めて観る文化に興奮して、時間を忘れてしまいます。













































