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異国の地に眠る外国人に捧ぐ

今回は、外国人居留地とともに深い関係がある外国人墓地を紹介しようと思う。現在、神戸の外国人墓地は再度(ふたたび)公園の中にある。トアロードから再度山ドライブウェイを登って、再度公園と外国人墓地を目指します。曲がりくねっていて、急勾配のところもあるので安全運転で。再度山ドライブウェイは、昔オートバイ事故が多かったので、今でもオートバイは通行禁止になっている。安全運転で20分ぐらい山道を登れば、再度公園に着きます。

(森林植物園行きの 25系統の路線バスもこのルートを通るが、4月~11月の土日のみの運行なので、時刻表と合わせて事前に確認を)

 


公園の奥の方に進むと無料駐車場がある。

季節によっては公園入口付近も無料駐車場になる


駐車場にクルマを停めて、公園に向かうと大きな修法ヶ原池(しおがはらいけ)が見えてくる。(子供の頃は「ショーガハラ」と呼んでいた)この修法ヶ原という名前は、弘法大師が中国に渡る前に修行を積んだ地であることから付いたそうです。ちなみに再度山は弘法大師が中国から戻った際に再度この地を訪れたことからついた名前だそうです。弘法大師さまが再び訪れなかったら違った名前になっていたんでしょうかね。

 

修法ヶ原池での釣りは禁止です

紅葉もバッチリ。

(2週間ほど前の写真です)


公園の設備をいくつか紹介しておきます。

遊具もあるが、基本は自然を楽しむ公園かと
(左) 炭焼き小屋 (右) アスレチック遊具

 

軽く食事ができるところもあります。

風楽山荘
六甲山で育てたスギやヒノキで建てられている

ここでも六甲山の木が役に立っている。食べ物のメニューは、こんな山中にあることを考えれば、リーズナブルな価格だと思うんですが。

ボートハウスを改修したカフェもある。

Re-encounter という名前

 

では、今回のメインである外国人墓地に向かってみよう。再度公園と駐車場の間の道を北に向かうと外国人墓地のゲートが見えてくる。

(右) 道の真ん中は滑るので要注意


ゲート手前には外国人墓地についての概要を記したものがある。見学は 4月~11月の間の第4日曜日。25系統のバスの運行に合わせている。冬の期間はバスが運休なので、その期間はお休みということ。

(左) 国指定名勝の掲示板 (右) 公開見学の案内


外国人墓地の概要を簡単に説明しておこう。簡単に言うと明治維新以降、日本に関連の深かった外国人の墓地である。しかし、ここにくるまでの経緯がある。まず、明治維新と同時に神戸に外国人の居留地が造成されたことは以前のブログでも紹介した。

(外国人居留地の話はこちら)

 

横浜の外国人居留地と比べても7分の1ぐらいの狭い面積だったので、墓地は居留地の外に作られた。居留地に隣接した小野浜である。しかし、外国人の数も増え、小野浜も市街地化してくると手狭になってきた。そこで春日野墓地を第2の墓地とした。この春日野墓地というのは今の神戸労災病院のあたりで、山手の見晴らしの良い場所である。きっと昔は墓地に適していたのだろう。しかし、そこにも住宅が建つようになり、春日野墓地も手狭になってきた。そこで神戸市は都市計画の一環として外国人の墓地を再度山に移設・統合することに決める。阪神大水害や第二次世界大戦の影響で計画は中々進まなかったが、戦後、小野浜と春日野のお墓は無事に再度山に移設・統合されることになった。現在、お墓の数は 2800 以上。たくさんの外国人が、故郷ではない異国の地である神戸に眠っている。

 

概要を記した掲示板もありました

 

見学の日ではなかったので墓地の中には入ることはできないが、その周囲の展望台とか礼拝堂はいつでも訪ねることができる。

 

(左) 正面の門 (右) 礼拝堂や展望台へ行く道

門の中に入るとすぐ左に登っていく道があり、そこを登っていけば礼拝堂がある。礼拝堂の隣りには、第一次世界大戦で亡くなった外国人兵士の碑がある。

 



礼拝堂の中に入ってみる。ここは、いつもオープンになっており、外国人墓地を説明するビデオを放映している。ここでビデオを見れば、この外国人墓地ができた経緯とかがよくわかる。

 

 

礼拝堂の壁面には、歴史年表やこの墓地に眠っている主な外国人の紹介などが掲示されている。ハンター邸のハンター氏、洋菓子職人のモロゾフ氏、パン職人のフロインドリーブ氏などは神戸の人には馴染みがあるかと。以前のブログで紹介したことがある西洋スポーツの振興に貢献した A.C.シム氏もここに眠っている。

 

右が小野浜墓地の話で左が春日野墓地の話
(左) 墓地に眠る著名人の紹介
(右) A.C.シム氏 (KR&AC より)

(A.C.シム氏が西洋スポーツの振興に貢献した話はこちら)

 


礼拝堂を出て、また少し登って行くと展望台がある。ここからは、墓地全体を眺めることができる。14ha ある墓地は広い。

 

墓地は広すぎて、全体が写真には収まらなかった


外国人墓地に眠る人々のことがを詳しく書かれた本もあわせて紹介しておこう。

神戸の外国人 ー外国人墓地と華僑風俗ー
鴻山俊雄 著

 

明治維新以降、多くの外国人が居留地や雑居地に渡来し、街づくりや技術伝承や文化の融合に尽力してきた。その結果、今の「KOBE」がある。その人たちに深い感謝と敬意をもって、六甲山系の再度山において安らかに眠っていただけるよう念じたい。この外国人墓地が再度公園とともに国指定の名勝となり、神戸の歴史を伝えていく一頁になったことはうれしいことだ。

 

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ではまた次回をお楽しみに ♣︎