
神戸にまつわる本たちの続編。その1、その2は特に何のテーマもなく適当に選んでしまった感がある。今回は神戸の歴史というよりも、音楽、映画、本などの文化を中心に書かれた本を紹介しようと思う。
■ おい!チキンジョージ ライブハウス チキンジョージ

神戸では有名なライブハウス「チキンジョージ」の開業45周年記念の本である。帯には「これはすべて酒の上の話である」と書かれてある。確かに「ほんまいかいな?」というような内容もあり、ほんまに面白い。どこに出しても恥ずかしい三兄弟の話からはじまり、徐々にミュージシャンとの交流が広がり、ライブハウスとして発展していく様子がよくわかる。阪神淡路大震災で大きな痛手を負うが、そこからまた立ち上がる。チキンジョージ名言集の数々は笑わせてくれる。
わかったことが一つある。皆に心から愛されているライブハウスであるということ。2026年3月発行。



■ 神戸と映画 映画館と観客の記憶 板倉 史明

この本をサラッと紹介するのは難しい。映画という文化が時代の流れでどう変わってきたか。神戸では新開地から三宮へと繁華街の中心が移っていった。その頃の最大の娯楽文化である映画もその影響を受けて徐々に移っていく。また、日本映画史の原点が神戸市であることも解説されている。(京都、大阪にもそれぞれ持論はあるらしいが)
その他にも映画史の貴重な記録がいっぱいある。新聞会館大劇場とかビッグ映劇とかの写真は懐かしい。阪神淡路大震災で倒壊した阪急会館の写真も記憶を呼び覚まされる。帯に書いてあるとおり「呼び覚まされる映画の記憶」なのだ。
映画好きにお薦めの一冊である。2019年4月発行。

■ 神戸ミステリー傑作選

神戸を舞台にしたミステリー小説が7編収められている。ミステリーと言っても推理小説とは限らない。もう少し広義にミステリアスな小説と捉えた方がいいかもしれない。
高木彬光「黒い波紋」はメリケン波止場、中突堤、税関付近で起こった事件もの。千代有三「痴人の宴」は甲子園の浜が舞台でサマータイムをトリックに使った推理もの。森詠「真夜中の東側」は、ジャズとバーボンとタバコが香るハードボイルドな短編。三枝和子「街に消えた顔」は、ちょっと不思議なショートショート。島尾敏雄「石像歩き出す」もちょっと変わった短編。ミステリーと言えばミステリーだ。SF作家の眉村卓「須磨の女」は、SFではなく、幽霊というか精霊というかそういうミステリーもの。締めの陳舜臣「幻の不動明王」は、コン・ゲーム(詐欺)小説。
どの作品も書かれた時期が古いのでミステリーの古典として読むのがいいだろう。
オリジナルは1986年4月に初版発行。写真の装丁のものは2026年4月の発行。
■ 神戸元町ジャーナル 通り過ぎた人々、喪われた街 平野 義昌

海文堂書店の元店員だった平野義昌氏の書かれた本。ビッグなサイズで本棚には収まらない。ジャーナルという名のとおり貴重な「記録データ」でもある。冒頭、海文堂書店の閉店の話から始まる。次に陳舜臣、司馬遼太郎、横溝正史らが神戸の街とどのように関わってきたか、またどういう思いを持っていたか。そして、空襲や震災の中で神戸の街がどう変わってきたか。喪われた(うしなわれた)街という表現もなるほどと思わせる。
番外編として、コーベブックス、ジュンク堂、三宮ブックスの話がけっこうなボリュームで書かれている。懐かしい話である。2025年7月発行。

音楽、映画、文学など文化にフォーカスして、神戸にまつわる本を選んでみたが、やはりここでも阪神淡路大震災の影響は大きいと感じる。喪われた(うしなわれた)街ではあるが、立ち直った街とも言えるだろう。
いいね やっぱり神戸が好き
もっと KOBE ずっと KOBE
ではまた次回をお楽しみに ♣︎