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歴史を刻み続ける御影公会堂

~草に根たよりに堤防を這いずり上がる。上がってみると御影第一第二国民学校御影公会堂がこっちへ歩いてきたみたいに近くみえ、酒蔵も兵隊のいたバラックも、さらに消防署松林すべて失せて阪神電車の土手がすぐそこ、国道に電車三台つながって往生してるし、上り坂のまま焼跡は六甲山の麓まで続くようにみえ、その果ては煙にかすむ~

野坂昭如火垂るの墓」より、主人公清太が石屋川から見た6月3日の空襲後の焦土と化した御影の町

 

■歴史的建造物

昭和8年白鶴酒造7代目社長、喜納治兵衛氏の寄付により建設されたようです。

冒頭の「火垂るの墓」のように昭和20年には戦災で外壁を残して内部がほぼ全焼しましたが、神戸市により再建されて、昭和32年には結婚式場となり年間1100件もの挙式が行われました。

阪神大震災では被害がなく避難場所として使われましたが老朽化が激しく、平成29年には改修工事完了し、平成30年に神戸市の文化財建造物に登録されています。モダニズムをベースにした独創的な意匠が特徴です。

独特の意匠の御影公会堂正面
側面(西側)と後側(北側) 丸い窓が印象的
ロビーと階段 曲線の天井や丸い電灯がモダンな雰囲気を出しています

嘉納治五郎が生まれたまち、御影

館内には喜納治五郎記念コーナーがあります。御影生まれで柔道の祖としての功績が展示されています。「柔道」を作り、講道館を設立。教育者として多くの功績を残し、灘中設立にも関与されています。NHK大河ドラマ「いだてん」では日本のスポーツの道を開き、東京オリンピック招致に至った功績を役所広司さんが演じました。

嘉納治五郎銅像と直筆の掛け軸

■御影公会堂食堂

館内に90年間に渡り営業を続けてきた食堂があります。昭和時代を思い出させるショーケースや重厚な調度品、店を形作る曲線が懐かしい雰囲気を作っています。初代の祖父から数えて三代目だそうです。洋食がハイカラだった時代から今も変わらずオムライス、ビフカツ、ハヤシライスなどが提供されています。冒頭の野坂昭如さんもこの食堂の常連だったようです。

昭和の雰囲気を残すショーケースとメニュー

 

昭和のモダンな建物が今もまちの公会堂としての役割を果たし、その中で昭和のハイカラな美味しい洋食が守り続けられいます。そこには常識にとらわれず常に向上心を持ち、チャレンジし続けた嘉納治五郎を生み出した御影の風土を感じます。

 

いいね。やっぱり神戸が好き。

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ではまた次回をお楽しみに♠️